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道に迷わない登山術

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≪登山入門書を信じてはいけない≫

昨日の遭難の記事を始め、過去にも高知県内の不入山城戸木森(きどきもり)での遭難事故の記事を投稿したことがありますが、それらの遭難の原因はいずれも道迷いです。



市販の登山入門書では、道迷いをしないようにするには、現地確認を怠らず常に行い、もし迷った時は来た道を引き返すか、眺望の開けた高所に登って周囲の地形を確認するか、高木へよじ上って見渡して進路確認を行い、絶対沢を下ろうとしてはいけない旨、記述されています。



が、私からすれば、このような記述をする著者は有名峰しか登ったことがないのでは、と疑ってしまいます。自然、戦跡、ときどき龍馬-加塚山へと向かう縦走路の尾根

まず、道迷いを起こしたことに気付いた時点で、引き返す余力や高所に登る体力は残っていないでしょう。山深い所では、高いピークや高木に登っても、展望はききません。



私も無名峰に登り始めた初年は、二、三回ほど道に迷いました。と、いうより元々道のない山です。そんな時、必ず行うことは沢を見つけて下ることです。前述の著者等は、沢を下ると滝や崖に出くわすから危険、と述べているのですが、そんな時は「高巻き」をすればいいのです。つまり、危険箇所を藪漕ぎして大きく迂回するのです。



無名峰を登り始めて半年も経てば、迷うことはなくなりました。つまり、読図力ルート・ファインディング能力がプロ並みになったということです。有名峰は何十年登っても、これらの能力が備わることはありません。



では迷わないためにはどうすればいい自然、戦跡、ときどき龍馬-加塚山頂 のかと言うと、「視界に入る地形を常に把握しておく」ということです。目に見えない箇所は地形図で推測するしかないのですが、目に見えている範囲の地形を把握する、ということは現地確認を行う、ということです。



地形は凸部と凹部で成り立っています。水平方向に出っ張れば、そこは尾根になり、その反対側は谷になります。垂直方向に出っ張ればピークになり、ピークが連続していれば、その間の凹部は鞍部(コル)になります。こう考えれば意外と簡単でしょう?



地形を的確に判断するには、25千分の1の地形図②コンパス、③高度計が必須です。よく①の代わりにガイドブックのコース図のコピーや、登山地図を持っている登山者がいるのですが、これでは的確な現在地確認は不可能です。



②と③の代わりにGPSを持参している登山者も見か自然、戦跡、ときどき龍馬-譲ケ葉森から見た土佐ケ尾山 けますが、機器に頼っていては、永遠に登山技術は向上しません。GPSのバッテリーが切れればそれまでです。


視界に映る尾根と谷と登山道の位置関係 を常に地形図と見比べながら確認し、分岐やピーク等で高度計の数値を修正していけば、あとどれ位で目的地に到達するのか、ということが推測できるので、精神的にも楽になります。



コンパスについてひとこと。できればデジタルとアナログ、両方のコンパスを持つことをお勧めします。私はかつて、高知・愛媛県境の無名峰加塚山(1065.5m)を目指して登っていた時、途中の土佐ケ尾山(1092.1m)山頂で戸惑ったことがあります。


リストコンパスとキーホルダーのコンパス、デジタル・コンパス(腕時計のカシオ・プロトレック)の三個のコンパスの針がそれぞれ、違う方向を指していたのです。これは恐らく、過去、土佐ケ尾山頂に落雷があって磁場が乱れたのでしょう。


その三個のコンパスの内、正確な方角を示していたのはデジタル・コンパスでした。但し、デジタル・コンパスは使用頻度が増えると電池を早く消耗してしまうので、アナログ・コンパスと併用する方がいいでしょう。


尚、加塚山のコースタイムは二時間少々。登山口から15分で稜線の縦走路に出られます。詳細は拙著「土佐の静寂峰(土佐のマイナー山part1)」(廉価版は当ブログ通販や高知市の金興堂書店グループ等で)にて。

土佐ケ尾山-加塚山縦走路の尾根の写真を見て、登りたくなった、という方は次の二つのバナーをプリーズ・クリックon


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