拙著(大月町に複数冊寄贈)で解説している大月町の海山・ムクリ山(別称:宝田山・296.3m)は、平成18年に運用が開始された、四国第二位の規模を誇る風力発電所「大月ウィンドファーム」によって、山名だけは広く知られるようになった。
轟山(283.7m)からムクリ山までの稜線に1,000KWの風車が12基建設されており、一般家庭約5,600世帯分に相当する25,000KW/hが発電され、全量、四国電 力に供給されている。
この施設が建設された折、町長は観光立町として、観光面に役立たせる旨の発言をしていたが、実際は開設当初、林道にゲートが設けられ、立入禁止看板が立っていた模様。
が、私としては著書で紹介していたこともあり、山や登山道の変わり具合を確認する義務があるだろうと思い、今年の正月、隣県の愛南町に連泊した最終日、寄ってみることにした。その登山ガイド書製作時、藪で登頂を諦めていた轟 山も、林道敷設によって、アプローチし易くなっているかも知れない、とも思った。
ウィンドファームへのアプローチは、まず大月町の中心地、弘見バス停南の四差路を北西に折れ、柴岡前バス停(「柴岡さん宅前のバス停」だからこのようなバス停名になった)のある三叉路に到ると右折、すぐ東の田城の橋バス停のある三叉路は左折して、県道357号を北西に進む。
坂本谷バス停を過ぎてほどなく行くと、左 に細長い池があり、県道は右ヘアピンカーブを描くが、そのカーブ部になぜか龍ケ迫への道標が立っている。その道標の建つ未舗装林道がウィンドファームへの入口である。が、数分も走ればゲートがある。
ゲート横広場に駐車してゲートをよく見ると、立入禁止表示はどこにもなく、ゲートの脇に人一人が通れる隙間がある。これは車での立入は禁止するが、徒歩や自転車であれば通行可、であることを暗に示しているのではあるまいか。町長の発言の手前もある。
が、付近に三角点測量員が付けたと思しきテープがあったので、ゲート手前から山中に入り、西の尾根に乗り、尾根を直登して行った。
しかし数分で旧林道に出て、更に数分でゲートから上ってきた現行の林道に出 た。
以後も林道沿いの尾根を藪漕ぎする等したが、林道はほぼ尾根上に敷設されていたので、林道を辿ることにした。
現行林道に出てから20分ほどで轟山直下の風車に到った。山頂直下の削られた斜面には巨石があり、恰好の展望所になっており、宿毛湾の好展望が広がっている。やはり冬の朝の海は清々しい。
三角点はすぐ背後にあるが、林道にゲートがあるせいか、登頂記念板は皆無。
ムクリ山に到るまでの間、いくつかの風車近辺から海の展望が広がっているものと思っていたが、観光利用されてないためか、展望箇所は皆無。
林道はムクリ山直下の風車で終わっていたが、拙著で解説した登山道は廃道化している模様だった。轟山からここまでは50分弱。
風車背後の斜面が削られた箇所の縁に 登ると、轟山を超える宿毛湾の眺望が広がっていた。拙著製作時も展望箇所はあったものの、ここまでの展望は得られなかった。
山頂までの踏み跡はなく、藪化している。少々藪漕ぎして15年ぶりに山頂に立った。三角点の狭い周囲だけは藪がないが、その外側一帯は藪の密林で、登山道の痕跡は皆無だった。
轟山やムクリ山頂直下からは胸のすく展望が得られるので、林道沿いに高さ7、8m位の展望台を設けると、宿毛湾の絶景が見られるはずである。津野町、香美市、梼原町等、多くの風力発電所は観光地化されており、大月町は観光立町でもあるのに、なぜここを観光地化しないのだろうか。
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