以前、土佐の三大裏見の滝を投稿したので、今回は徳島県と愛媛県の裏見の滝を紹介したい。
(1)不動の滝(徳島県勝浦町)
四国一有名な裏見の滝で、取星寺と同様、四国霊場・立江寺奥の院である「星の岩屋」という岩窟前に懸かる。落差は15mとされるが、もっとあるように感じる。
弘法大師が延暦11年、天空に現れた妖星を失墜させるため、七昼夜秘法を修した場所。
大師堂から滝の裏側に回る小径があり、岩窟を抜けて本堂に出て回遊できるようになっていたと思う。
本堂下の樹齢450年の楠内部には「生不動」が彫られている。
その西の「四国のみち」案内板が建っている箇所から穴門(あなと)を経て中津峰山に登る四国のみちが整備されており、すぐ西に上がった所には不動尊の磨崖仏「天上不動」が彫られている。
穴門とは那賀町の白崩山同様、峠下に掘られた素掘り隧道のこと。幕末頃掘られたのではないかと思われるが、高さが1mほどしかないため、しゃがまないと通り抜けられない。長さは10mほどで、内側は石積みによって固められている。入口の扁額には「佛石」、出口には梵字で「阿吽」と刻字されている。
岩屋から穴門までは急登続きのため、一旦車に戻り、仏陀石上の広場まで移動し、手前の峠道を上がった方が近い。
仏陀石とは、弘法大師がこの地で感得した曼荼羅を、ピラミッド状に積んだ53体の石仏によって表現したもの。
巨岩の上に安置されているが、その横の岩の上には、真言を刻んだ月輪石(がちりんいし)があり、両方の岩は石積みの石橋によって結ばれており、その下をくぐって沢に下りることができる。
高知から星の岩屋へ行くには道順がやや複雑だが、私は高速を使わず、国道195号を東進して行き、太龍寺ロープウェイ山麓駅がある県道19号を北上後、県道22号から県道16号に出て西進、中角バス停先の三差路を右折、更に星谷橋に右折して北上し、後は道々に出る小さな道標を見逃さずに進んだ。
因みに県道19号沿いには、氷柱石等の鍾乳石のある竪穴を擁す「氷柱観音」があるが、竪穴は足場がないので危険。
(2)樽滝(愛媛県西予市)
こちらも不動の滝や翠ヶ滝のように、仏堂(樽滝観音堂)の横の岩盤に懸かっている。落差は18m。
滝手前の岩盤の間に造られた伏せ石小径を上がって行くと、滝の天辺に出られる。滝の上流には広い畑跡のようなヤブの平地がある。
国道441号の「上旭」バス停手前の分岐に小さな道標が出ている。道路終点が滝への上り口だが、車は一台しか駐車できず、先客がいると方向転換すらできない。
登山道を数分上がった所の三差路には「小たるの滝」の手製道標が立てられている。その滝は裏見ではなく普通の滝で落差は10m前後位。
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阿波と伊予の裏見の滝
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