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躍動感のある仏像群が滝に~香園寺奥の院・白滝(西条市)~

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[通行禁止参道以外のコースを紹介]

愛媛県西条市にある四国八十八ヶ所第61番札所・栴檀山教王院香園寺(こうおんじ)には以前紹介した西条海軍航空隊員等、特攻等で散華した兵士を供養する観音像があるが、この奥の院白滝(白瀧)はその名の通り、滝行をするための滝が大谷川に懸かっている。

 

滝の規模は小さいものの、滝壺の形が独特で、恰も川床の岩盤を10mほど垂直に長方形に掘ったような景観をしている。滝の天辺には誰でも立つことができ、その滝壺を見下ろすことができる。

 

滝の行場故、三体の仏像(銅像か)が設置されているのだが、仏像は奥の院(昭和8年創建)の堂宇の本尊・不動明王と脇侍の制多迦童子(せいたかどうじ)及び矜羯羅童子(こんがらどうじ)と同じ。但し、堂宇に祭られているものより大きい。人間大位ではないだろうか。

 

その滝にある仏像の内、鉄杖を突き立てて身構える制多迦童子は躍動感溢れる造形で、如意棒を持つ孫悟空を連想させる。仏像美術に於いても優れたもの。

 

制多迦が「動」なのに対し、矜羯羅童子は「静」で、親指と人差し指の間に独鈷杵を挟んで静かに合掌している。この両者の対比も素晴らしい。

 

そしてこの二尊を見下ろす滝の天辺に座して鬼の形相をしているのが不動明王像。断崖に設置されているにも拘らず、背後に火焔も背負っている。この三体の配置も絶妙。

 

堂宇(駐車場とトイレあり)から滝までは徒歩23分ほどで、川沿いは紅葉が色付く。川の水量は少ないが、小魚も泳いでいるほど澄んでいる。但し水深は浅く、園児が転落したとしても大事には至らない。

 

が、今年の西日本豪雨でコンクリートの参道が崩れ、滝への参道は通行禁止になっている。但し、実際に歩いてみると特に危険箇所はない。入口の白滝橋の上に通せんぼとして置いている木とバーを乗り越える必要はあるが。

 

そういうはしたないことをしたくなければ、堂宇の裏手から上がる遍路道を少し登った所の三差路を左折し、西岸を遡る取水パイプ巡視路を辿ればよい。この踏み跡は不動明王の鎮座する滝天辺へ繋がっているが、滝壺前に下りるには、地表に出ている木の根に掴まりながら下りる必要があるため、軍手がいる。

 

尚、寺の上を通る市道は、四国のみちにも指定されている第60番札所・横峰寺への参拝登山道へ繋がっている。ただ、横峰寺へ徒歩で登るなら、大谷川の東を流れる小松川沿いの林道(ドロンボーの自転車の記事で触れたと思う)の土砂崩れ部から、小松川を源流近くまで遡る別経路の旧遍路道の方が早く途中の峠(四国のみちとの合流点)に到達できるかも知れない。但し、林道から分岐する古道は近年、未整備。

 

今後も通行禁止や道のない滝等のガイド記事を投稿してほしい、という方は次の二つのバナーをプリーズクリック。

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