[釜ヶ淵、お近淵と五つの淵]
高知県越知町片岡にある、拙著で解説した「明治富士」こと、唐岩の登山口に到る町道の途中に’00年代以降、「藤田希望公園(片岡希望公園)」という看板が設置された模様。
その自然公園内の遊歩道(車道ができる前の旧道)沿いには、連続する七つの淵からなる「七淵(七淵渓谷)」があり、最上流には二段で落差十数メートルの釜ヶ滝がある。
この滝の下段の滝の滝壺を釜ヶ淵という。上段の滝の滝壺が一つ目の淵で、釜ヶ淵が二つ目となる。ネットでは七つの淵を釜ヶ淵と総称するような誤った説明をしている者もいる。
それに隣接して同規模の三つ目の淵があり、その下流側はまた滝状になっているのだが、その上に鑑賞用の金網橋が架かっている。
高所恐怖症の者はすぐ下が激流故、渡れないかも知れない。この橋は、いの町の中追渓谷の各所にかつて架かっていた金網橋を想起させる。
この滝状の下流にある大きい四つ目の淵をお近淵(下の写真)という。恐らく昔、「お近」という女性が投身自殺したのだろう。お近淵の下流には五つ目の小さな淵が見えている。六つ目と七つ目は遊歩道からは見えない。
斜面の踏み跡を下れば、釜ヶ淵を間近に見下ろすことができ、更に下流に進めば、三つ目の淵の縁に下り立つこともできる。
釜ヶ滝の天辺にも簡単に立つことができるが、右岸沿いの岩は洞門状になっている。但し、渓流の浸食作用で穴が開いたのか、岸と川床の岩の間に巨石が落下して経年変化で土橋のようになったのかは、分からない。
但し、大昔は水嵩が今の倍以上あったことが地形から推測されるため、後者のケースだったとしても、水流が下部を削って穴を大きくした可能性は高い。現在、その洞門(下の写真)には渓流が流れていない。
その天辺(下の写真)へ行く手前の左手奥には、黒い絶壁の岩盤が見えているのだが、纏まった雨が降ると、ここに落差70mの不動の滝が出現する。雨後でないと現れないことから「幻の滝」とも言われている。
普通の行楽客はここから引き返すが、旧道を終点まで辿り、道路を引き返すと回遊できる。釜ヶ滝天辺のすぐ上流には堰堤があるものの、そこを過ぎるとまた景観のいい渓谷状になる。
橋を渡ると、川床や対岸に巨石が見える。
辺りが開けて対岸に民家が見えてくると道路に合流する。
復路、駐車場の案内板に図示されていた「展望広場」を探したが、地元住民は誰も知らなかった。
その向かいからお近淵へと落下する滝の上に架かる橋に下るルートも案内板に記されていたが、それも道標はなく、やはり地元住民に聞いても分からなかった。一部の有志が整備しているのかも知れない。
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