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Channel: 次世代に遺したい自然や史跡
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“林床のキラ星”バイカオウレン・福寿草と桜(佐川町)

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<佐川城跡&加茂のバイカオウレン群生地と清宝山>

今月に入り、高知県のテレビニュース等でも取り上げられるにようになった、佐川町加茂のバイカオウレンの自生地。更に佐川中心街背後、佐川城跡(二枚目の写真は竪堀)の牧野公園にも大量に植栽されている。

 

この花は長さ11.5cmほどの白い花びらのように見える萼(がく)が五弁ある可憐な花。薄暗い林の中に白く輝いて咲き、群生しているその様は、まさに「林床の煌星」。英語なら「forest floor glittering stars?

萼の形が梅花に似ており、地下茎から黄色いヒゲ根が出ていることから、梅花黄蓮(バイカオウレン)と名付けられた。

 

一昨年まで、佐川町や日高村に自生しているバイカオウレンは四国の固有種で絶滅危惧種の「シコクバイカオウレン」とされていたが、去年、日高村のものは「ヒュウガオウレン」、佐川町のものは、一般的なバイカオウレンに近い品種であることが発表された。

それでも牧野公園や加茂の山中にバイカオウレンが何万と咲くその様は、神秘的でメルヘンチックでもある。

 

牧野公園は高知市の県立牧野植物園と同様、日本植物学の父・牧野富太郎博士ゆかりの植物等を植栽しているが、博士の生家の近所にあり、園内に博士の墓碑がある牧野公園の方が本家とも言える。それに入園も無料。

 

牧野公園も四季折々の花が咲くが、今の時期はバイカオウレンの他、セリバオウレン(博士の命名種)、大豊町の自生地が有名な福寿草、ユキワリイチゲ(上の写真)、河津桜等の早咲き桜等も咲いている。

 

そんな牧野公園は観光客も多いが、専用駐車場がない。街中に何ヶ所か無料駐車場はあるものの、駐車台数が少ないものが多く、分かり易い看板も出ていない。佐川町観光協会に聞いた地場産センター(二階が建物のジオラマ展示場)の駐車場に駐車していたら、そこはバスが来るから止めるなと注意される始末。こんな観光客の気分を害することをしていいのだろうか。

 

一般車の通行が禁止されている道路沿いには、バイカオウレンの道標が次々と現れるからそれに従えば良い。その植栽地入口の遊歩道の分岐斜面にユキワリイチゲが咲いている。植物図鑑の写真等を見ると野菊のような花だが、ここに植栽されているものは、まさに雪を割って地面から出て来たような、花弁が開き切る前の状態だった。

 

バイカオウレンは日陰を好むが、ここの植栽地は佐川城跡の段々になった郭の一つであるので、昔、何らかの建物が建っていたのかも知れない。加茂の群生地同様、花は植林の中にあるが、夜空の星の如く、林床一面に散りばめられている。一体何万本植栽されているのだろうか。

北側の一部にセリバオウレン(上の写真)が咲いている。萼はバイカオウレンと比べると細長い。

 

さきほどの分岐から道路に上がると、そこの東屋周辺に寒桜か河津桜かが何本か咲いている。そこからはまた南方を東西に走る遊歩道に入り、東に上がっていったように思う。

 

上方の分岐にはまた福寿草の道標があり、そこを北に折れた所の道路下の細長い斜面に福寿草(上の写真とその上の写真)が植栽されている。この花もユキワリイチゲやバイカオウレン同様キンポウゲ科だが、陽の光を浴びた花弁の黄色が鮮やか。

 

余談だが、徳島県一の福寿草群生地、西三子山のものは二、三年前、一斉に姿が「消えた」と言われている。専門家でも理由が分からないという。

 

公園随一の展望所は物見岩の上で、最高所はその上の北ノ段。そこにも桜が咲いていて、花見ができる。

その上に木製の扉があり、それを開けて城跡詰ノ段へと登るが、そこから先は道標がないため、分岐で誤って左折してしまい、急斜面を這い上がって「詰ノ段北」と言われる広い郭に到達した。

 

そこからは南へ進むが、最初に現れる堀切の巨大さに驚かされる。

その次の郭は「詰ノ段南」と仮称されており、古城山(200.4m)三角点の地が天守跡(上の写真)である。その南西の尾根に展望の開ける箇所がある。その更に南西の鞍部が峠となっており、ここを右折して下ると往路の園内道路の花園保育園向かいに出る。

 

加茂のバイカオウレン群生地入口の道路は狭いため、地元では麓から徒歩で登るよう勧めている。が、当方が麓に移動した頃はもう16時を過ぎていたので、車で上った。

群生地登山口に到る道路は地形図(越知)には記載されていないため、群生地上方の道路から(下の図示地点)下ることにした。

 

しかしこの道路、加茂集落では本道と私道の区別がつきにくく、最初、誤って個人宅の庭に進入してしまった。道が狭いため、バックして方向転換するのも一苦労。

 

一応、群生地上方の道路からの下り口には道標が設置されている。数分以内で群生地に達する。群生地は高低差があるが、標高80100m位ほどの植林帯の狭い谷間である。

ここの開花は牧野公園のものより早く、先日の土曜に行った際は一部が散っていた。それでも林床の無数の綺羅星の眺めは壮観。

 

探訪後は車で清宝山(357.1m)直下まで登った。この道路は更に狭い。道路終点に「清宝山石鎚神社」があり、最初のピークに道祖神のような石仏他、複数の祠が祀られている。山頂手前にも祠があったように思う。山頂は三角点があるのみ。

 

展望地は道路沿いのみで、石鎚神社横と途中の林道分岐地等。

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