<水に浮かぶ鍾乳洞から複合的山上洞門まで>
今年もまたこの季節(年間探訪地ベスト5を発表する時期)になったが、去年、1位から5位までの内、4ヶ所が九州の地だったのに対し、今年九州は皆無。代わりに中国地方が席巻することになった。
第5位・三次もののけミュージアム(広島県三次市)
以前、この施設の企画展については詳しい記事を投稿したが、死ぬまでに一度は見ておきたかった妖怪のミイラを多数見ることができたことは感無量。
その記事で触れた、先祖が龍と人間の女との間に生まれた子だという旧家に伝わっている龍の頭骨の写真を添付する。下顎部分は欠損しているが、角が歪な形状。
もう一枚は、落雷によって地上に落ちてきたという「雷獣」のミイラ。これは作り物とは思えない。他にも雷獣の頭部の剥製も数個展示されていた。→公式サイト
4位・伊吹島(香川県観音寺市)
この島についても以前触れたが、観音寺港から定期船で行く離島。ここに行った目的は、脚の高さが人の背丈を超える大きさの「大きな椅子」と、干潮時に陸地から探訪できる海食洞門「石門」を見るため。
「大きな椅子」は座ろうと思えば座れるが、眼前に広がる瀬戸内海と潮風が気持ちいい。石門は浜まで下りる道が廃道同然だったものの、形的にはローマかどこかの遺跡を彷彿させる。→公式サイト
ただ、観音寺港は駐車スペースの空きが殆どなかったので、苦慮した。
3位・児島龍王山(岡山県倉敷市)
児島龍王山(209.2m)については以前、玉野市の「天空の鳥居」を紹介した記事で説明した。地元の者は麓の住宅街から登ってくるケースが多いが、一番楽で各種風景を楽しめるコースは、鷲羽山スカイラインを基点に回遊するコース。
コース中にはつつじが咲き誇る、展望が優れた観音堂もあり、山頂付近には絶景と印象深い鳥居が。鳥居から三角点までは常に180度の瀬戸内海の展望が広がっている。→詳細記事
2位・羅生門(岡山県新見市)
近年まで、西日本の山上の天然洞門は九州にしかないと思っていたが、中四国にもあることが分かった。但し、中国地方、岡山県のものは、成因が九州や四国のものとは異なる。
九州や四国のものは、海面が現在より数十メートルから1,000メートル近く高かった太古の時代の海食洞門なのだが、新見市の標高400m前後の地にある羅生門と呼ばれる洞門は、太古の巨大洞窟が一部を残して陥没し、周りの土が消失して出現したもの。
洞窟の壁面にはいくつかの大きな穴が開口していたことから、複数の石柱から成る、複合的巨大洞門になっている。その高さ40m。もし洞窟のまま残っていたとしたら、岡山県屈指の観光地になっていたことであろう。
立入禁止区域には洞窟が残っているが、入口には段差があり、内部は傾斜している。尚、現在は落石の危険がある、ということで、洞門手前にロープが張られているが、好奇心を抑えられないケースも。→鍾乳洞と合わせたモデルコース
1位・満奇洞(新見市)
新見市は北九州市の平尾台同様、鍾乳洞の数が全国屈指なのだが、未整備洞については、’00年代、ひめさか鍾乳穴に於いて、高知大学探検部の部員が死亡する事故があってから、学術調査時以外は立入禁止となった。
が、事故とは無縁の観光洞については、景観は優れている。特に与謝野鉄幹・晶子夫妻が訪れて絶賛し、横溝正史の金田一耕助シリーズの『八つ墓村』や『悪霊島』にも登場した満奇洞(まきどう)は、「水の鍾乳洞」と言ってもいい位、地下水が豊富で、地底池や泉となり、水面にカラーライトアップされた鍾乳石が映り、幻想的な光景を生み出している。
四国の観光洞や整備洞(整備はされているが照明設備がない鍾乳洞)にはない、「地底の棚田」とも称されるリムプールもあるので必見。→公式サイト
観光コースとしては、中国自動車道・北房ICを降りて西進し、満奇洞、羅生門、井倉洞と、巡ることになる。井倉洞も中国地方屈指の鍾乳洞だが、出口横に懸かる、ポンプアップされて落下する「井倉の滝」が、まるで自然の大滝のように豪快。以前紹介した、西予市の洞窟横に懸かる人工滝より規模が桁違いに大きい。
今年、九州の地がランクインしなかったのは、目ぼしい山上の天然洞門をほぼ探訪し終えたため。故に九州に出かける理由もなくなった。しかし自動車博物館や旧車展示施設、一部の戦争遺跡等は興味あるので、再び出かけることもあるかも知れない。
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