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土佐の磨崖仏三景

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高知県の一般に知られている磨崖仏は線刻が多く、製作者や製作時期、仏の種類等、不詳であるものが多い。

 

(1)  柏木磨崖仏(北川村柏木)

県下で最も有名な磨崖仏。巻の渕沿いの岩壁に彫られているが、崖の天辺からはかの中岡慎太郎が少年期、飛び込んで遊んでいたという。

 

142cm、横55cmの規模で、縦に三体彫られている。上から秋葉大権現、カラス天狗、そして何らかの獣。

製作時期は藩政時代後期で、製作者は松林寺の玄門住職。

 

因みにカラス天狗のミイラが和歌山県御坊市の歴史民俗資料館等にある。

カラス天狗は大天狗の使いであるとも言われるが、修験道に於いて信仰されている。御坊市は熊野修験者が行き交った熊野古道が通っている。

 

(2)  若一王子磨崖仏跡(土佐市宇佐町宇佐萩谷)

 前回の記事の追伸で触れた「高知県最大の磨崖仏」。若一王子宮の背後にある高さ78mほどの岩盤に二体の仏像等が彫られていた。しかし残念ながら、人為的に削り取られ、下部の蓮華座の一部しか残存していない。

 

その岩盤の前に立つ高さ1m少々ほどの自然石にも何らかの磨崖仏が彫られていたものと推察される。

 製作時期等は不詳だが、廃仏毀釈時に削り取られたものと思われる。

 

(3)  萩谷磨崖仏(宇佐萩谷)

塚地峠を越える遍路道沿い、萩谷の登山口(四国のみちの道標あり)から徒歩10分ほどの地点にある。

大小二つの岩に沢山の仏像等が彫られているが、地震か豪雨で岩が斜面から滑り落ちており、斜めに傾いている。

 

こちらも詳細は分からないが、製作時期は藩政時代前期位だろう。

かなり沢山のものが彫られており、仏像以外のものもあるが、何か分からないものが多い。

 

確実に判別できるのは、大きい岩の方の正面上部、一つの胴体に頭が三つあるカラス天狗が刻まれており、その下には弘法大師の座像。この頭が三つあるカラス天狗像は珍しくなく、高知市内の寺にも石像がある。

 

大岩の東側側面の顔が薄肉彫りの像は、錫杖を持っていることから山伏か役小角か。

他にもエジプトの王のような仏像等、数体の他、三味線や独鈷のように見えるものもある。

 

小岩の方には、円形に連なった小太鼓を持っている雷様のような像に、烏帽子を被った神職のような像も描かれている。

 

更に遍路道を登って行き、「へんろ道 塚地峠 あと600m」という丁石ならぬ丁板が建つ箇所の手前には、自然岩の道しるべがあるが、ここにも大師像が彫られている。道しるべの文字は「是より青龍寺へ 四十九丁半」。

 

尚、塚地峠の標高は190mと低いので、登ることをお勧めする。峠には茶屋跡の石垣が残り、南西ピークの手造り展望所からは、宇佐湾や宇都賀山から崎山、太平洋の展望が広がっている。

 

高知市の寺にある三頭カラス天狗石像や四国の他県の磨崖仏(以前触れた五剣山のもの以外)も紹介してほしい、という方は次の二つのバナーをプリーズ・クリック

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