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初公開!愛媛県第二位の落差120mの千段滝(面河渓周辺)

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[林道から15分なのに探訪者なし]

以前、愛媛県久万高原町にある四国一の渓谷・面河渓よりも水の色が美しいその支流・鉄砲石川を紹介した(『四国最高水質の大渓谷に注ぐ清流の川』及び→『四国最高水質の大渓谷に注ぐ清流の川(2)』)が、その川の更に支流の谷には愛媛県第二位の落差を誇る千段滝(せんだんのたき)が懸かっており、鉄砲石(火縄銃の形状をした石)の下方やや手前の林道沿いには看板まで建っている。更にその下の鉄砲石川キャンプ場の炊事棟横には、滝が記載された等高線入りの地図板まで設置されている。にも拘らず、ネット検索してもこの滝の探訪記事は皆無。

 

しかし実際に訪れてみると、平成に入り、廃道化したと言われていた探勝路は、取水パイプ管理道として薄いながらも現存しており、渡渉地にはマーキングテープも巻かれており、キャンプ場から僅か10分台で到達することができる。滝の形状は同じく鉄砲石川支流に懸かる布引滝(落差80m)と同じような滑滝で、川床の岩盤を滑るように流れている。その岩盤に無数の節理の段差があることから「千段滝」(下の地図)と名付けられたのだろう。

 

アプローチは過去に投稿した鉄砲石川の記事と同じで、駐車場は「国民宿舎面河」の先にある最奥の「面河渓第二駐車場」。そこから車止めチェーン手前の山道を上がって素掘りトンネル東口に出て、そのトンネルを抜ける。

 

数分でキャンプ場のトイレが現れ、すぐ千段滝の看板が現れるが、当然そこから滝は見えない。炊事棟横の地図板の所に下りる前に、以前も紹介したかも知れないが、その先のカーブ周辺の右手にある小径を登り、「こうもり石」(上の写真)と「鉄砲石」(下の写真)を見られたい。前者は以前解説したように、バットマンのロゴマークにそっくりの平たい石。後者は「鉄砲石川」の河川名の由来になったもの。

 

炊事棟近くから河原に下り、川石を跳んで渡り、斜め向かいの、上流に滝のある谷入口(下の写真)に立つ。谷の左岸(北岸)奥の木に赤いマーキングテープが巻かれた薄い踏み跡があるので、それを登るが、すぐ取水パイプの金属製桝(タンク)手前で谷に下りる。

 

谷の水量は極めて少ないが流木だらけのため、一見すると遡行し辛いように思える。が、右岸寄りが歩き易い。ほどなく岸の上の切株から細くて短い鎖とロープが垂らされている箇所に到る。そこから岸に上がるとやや下草がヤブ化した探勝路が付いている。

 

その踏み跡も土砂崩れ跡に達して消えるが、そこの斜面の岩盤には水が流れた跡があるので、雨後は滑滝が現れるのだろう。この岩盤の崖があるということは、探勝路はここで対岸に渡るはず。案の定、対岸の木にはまた赤いマーキングテープが巻き付けられている。渡渉地付近の上には、鉄砲石川の上流にある兜岩に似た崖が屹立している(上の写真)。

 

対岸の踏み跡自体は不明瞭だが、取水パイプを伝っていけばいいのでルートは誰でも分かる。取水パイプは千段滝で終わっていた。当初、滝のイメージを勝手に愛媛県一の滝・高瀑や第三位の滝・御来光の滝のようなものと思い込んでいただけに、布引滝のような滑滝だったことは意外だった。ここの標高は760m前後。

 

この滝も布引滝のように全景を拝むことはできず、下部の半分から3分の1位しか見えない。見える範囲では三段になって落下しており、三段目上には鉄砲石川上流の鎧岩のような崖が切り立っている(上の写真)。その崖の上部は人の横顔のようにも見える。三段目から上は谷筋が急カーブを描いているため、見えないのである。それを見るためには沢登り装備が必須となる。

しかし「120m」というのは落差ではなく、滝の「長さ」ではないだろうか。四国随一の滑滝である滑床渓谷の雪輪ノ滝も落差こそ80mだが、全体の長さでは300mを超える。

 

帰路は以前、鉄砲石川を探訪した時のように、谷の出合から鉄砲石川を「櫃の底」(滝壺)へと落下する滝の天辺(下の写真)まで下ったが、こちらも川床は滑らかで渓流は滑るように流れており、水は「面河ブルー(仁淀ブルー)」のエメラルドグリーン。

 

そこからは一旦林道をトンネル西口まで戻った後、再び川床へ下り、神秘的な櫃の底を鑑賞した。そこから夫婦滝(雄滝と雌滝)まで下って行こうとしたが、途中で堰堤があり、そこから下流に下るのは不可だったため、車で面河ダム第一承水堰のやや下流まで移動し、そこから川床に下り、面河川と鉄砲石川の出合「想思渓」を目指すことに。実は道路から直接想思渓に下りる小径があることを忘れていたのである。

 

想思渓も白く輝く川床が美しい渓谷だが、ここにあると言われる夫婦岩はどれがそうなのか分からなかった。一際大きな石とその横に挟まれた小さな石のことだろうか。

想思渓から鉄砲石川を遡行しようと思ったが、すぐ遡行が困難となったため、左岸の山肌の造林作業道を登って行ったが、川面から大きく外れてきたので、諦めて引き返した。前述のトンネル南方の尾根から夫婦滝や桧山出合の滝を見下ろすことができるのだろうか。

 

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